英国の欧州連合(EU)離脱に伴い、EU加盟国間でロンドンを欧州拠点とする金融機

英国の欧州連合(EU)離脱に伴い、EU加盟国間でロンドンを欧州拠点とする金融機関の誘致合戦がヒートアップしてきた。有力候補地を持つ加盟国は優遇措置も模索するなど金融機関の引き寄せを図っており、今後さらに激しくなる可能性もある。

 「パリをもっと魅力的にする決意だ。英離脱後は(パリが)欧州でナンバーワンの金融センターだ」。7月7日、こう豪語したのはフランスのフィリップ首相だ。

 意気込みは言葉だけではない。具体策として、金融機関が納める給与税の軽減▽金融取引への課税拡大計画の中止▽金融に関する係争を英語で対応する裁判所の設立-などを打ち出し、従業員家族を念頭にインターナショナル・スクール増設もうたう。

 EU離脱で英国が「単一市場」を離れれば、銀行などがEU全域で自由に営業できる「単一パスポート」制度が維持できなくなる可能性があり、ロンドンの金融街「シティー」の銀行などは制度維持のため欧州拠点の移転準備を進める。最近ではゴールドマン・サックスなど米大手のほか、三井住友フィナンシャルグループなど日本の金融機関も表明した独フランクフルトへの拠点開設の動きが目立っている。

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 仏メディアによると、これに対し、パリでの拠点の開設が現時点で確実なのは英HSBCのみ。仏政府が躍起となるのは、そんな状況からの巻き返しのためだ。フランスは従来、手厚い労働者保護がネックとされていたが、5月に就任したマクロン大統領は投資銀行出身で、経済競争力向上に向け労働市場改革や法人減税なども目指す。

 「政府はフランスを金融機関に優しい国にしたがっている」。在仏金融関係者はこう期待を寄せている。

 他のライバル都市もフランス政府の動きを座視してはいない。独メディアによると、フランクフルトを擁するドイツ中部ヘッセン州は金融機関に対し、従業員の解雇を柔軟化する措置を連邦政府に提案。9月の総選挙後にも議論されることに期待する。

 オランダではアムステルダムへの誘致のため、経営者団体「VNO-NCW」が金融機関幹部に対する賞与の上限の緩和を求める。EUの多くの国はEUが規則で定める基本給の100%を上限とするが、オランダは一昨年に20%とすると決めた。アムステルダムは交通やITインフラが整い、多くの国民が流ちょうに英語を話すという強みがありながら、賞与制限が不利に働く可能性があるためだ。

 「オランダは海外の銀行も歓迎だと示すべきだ」。VNO-NCWはこう訴えている。

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 欧州メディアによると、大手会計事務所「アーンスト・アンド・ヤング」が最近公表した調査結果では、対象とする英国内の222金融機関のうち、拠点の移転を検討したり、一部をすでに国外に移し始めたりしたのは59機関で、3月時点の23機関から増加した。

 移転先ではダブリンを中心としたアイルランドが19機関で最多。フランクフルトが18機関で続く。ダブリンは英語が一般的で、ロンドンにも近いことなどが利点。一方、フランクフルトは欧州中央銀行(ECB)やドイツの金融当局の拠点があることが強みとなっている。

 両都市に続く3位は、欧州の金融センターとしても知られるルクセンブルクで11機関。ECBが拠点開設の手続きには時間がかかることから、移転の準備に早めに始めるよう呼びかけており、今後、さらに動きが加速し、各国の誘致合戦も熱を帯びる可能性もある。